メインショー演出家の選定にあたっては、日本館のメッセージ「つながろう!調和のとれた未来のために」を舞台的表現する上で、日本と中国との芸術文化交流や共同制作の実績を有するとともに、アジアや世界に向けてメッセージを表現できることが重要であると考えました。その結果、日本の演劇界の第一人者であり日中をはじめ、海外との交流や共同制作に取り組んできた「佐藤信」氏と、上海出身であり、日中共同制作や海外での舞台公演実績を多数有するとともに、都市における文化や芸術のあり方にも造詣の深い「ダニー・ユン」氏のお二人を演出家として起用しました。
佐藤 信(2010年上海国際博覧会日本館メインショー総合演出家)
佐藤 信
日本館メインショーの演出にあたっては、未来の主役である子供たちにも、きちんとメッセージが伝わるよう、奇をてらわず、わかりやすい舞台になるようにと考えている。また、「心をつなぐ」というテーマに、中国の演出家と一緒に取り組む機会を持てたこともうれしく思う。2人とも、いろいろな経験を積み重ねてきたが、もう一度初心に帰り、自分たち自身、子供の心をもって、作品作りに挑みたい。
ダニー・ユン(荣 念曾)(2010年上海国際博覧会日本館メインショー舞台演出家)
ダニー・ユン(荣 念曾)
日本館のメインの舞台の演出を、佐藤氏と一緒にできることは、大変興味深い。佐藤氏とは、アジアの文化交流を通じての古くからの友人、12年前には共同制作をしたことがある。沖縄で、中国の伝統戯曲「一卓二椅子」をコンセプトに、舞台製作をした。これは真の意味での文化交流だと思っている。文化交流はとても大事で、交流がないと発展もないといえる。交流創作を通じ、ともに文化を見つめ、新たな創作意識を高めたい。
演出家の略歴と作品
佐藤 信
略歴
1943年、東京生まれ 早稲田大学文学部中退 俳優座養成所を修了。
1966年にアンダーグラウンドシアター自由劇場を創立、1971年には演劇センター68/71(現、劇団黒テント)設立に加わり、中心的な演出家、劇作家として、1990年までの20年間、日本全国120都市におよぶ上演活動を中心に、常に日本の現代演劇界をリードしてきた。
独特な幻想的文体によって社会や歴史を批評する戯曲執筆や、多数の現代演劇の演出を手がけるとともに、音楽、舞踊、伝統芸能などについての幅広い知識をもった演出家としても知られ、オペラ、現代舞踊、人形芝居、能等、多彩な分野の舞台を演出する。
舞台作品制作とともに、アジア演劇ワークショップ、アジア芸術ネットワーク、ヨーロッパ主要演劇祭参加などの海外交流活動、国内における民間、公共劇場建設計画などにも積極的にかかわる。また1998年から2009年まで、国立東京学芸大学教授として、演劇と教育についての研究や、後進の育成に取り組んできた。現在、座・高円寺(ZA-KOENJI PUBLIC THEATRE)芸術監督、個人劇団「鴎座」主宰、劇団黒テント演出部所属。
主な作品
| 1969年 | 「おんな殺し あぶらの地獄」作・演出 紀伊国屋演劇賞 |
| 1971年 | 「鼠小僧次郎吉」作・演出 岸田国士戯曲賞 |
| 1981年 | オペラ ヤナーチェク「カーチャ・カヴァノバ」演出 |
| 1985年 | オペラ ベルグ「ヴォチェック」演出 |
| 1985年 | スパイラルホール 初代芸術監督 |
| 1988年 | オペラ ドビッシー「ペアレスとメリザンド」演出 |
| 1989年 | 中国との共同制作 オペラ「魔笛」(1989年東京公演、1991年北京講演)演出及びプロデューサー 中島健蔵音楽賞 |
| 1989年 | 東急文化村 オーチャードホール 初代プロデューサー |
| 1997年 | 世田谷パブリックシアター 劇場芸術監督 |
| 2000年 | 世田谷パブリックシアター サミュエル・ベケット「ゴドーを待ちながら」 |
| 2003年 | オペラ日生劇場「ルル」演出 ミュージックペンクラブ賞 |
| 2005年 | 黒テント ベルナール・マリ・コルテス「ロベルト・ズッコ」 |
| 2006年 | 鴎座 ハイナ・ミューラー「ハムレット/マシーン」演出 |
| 2008年 | あうるすぽっと ウジェーヌ・イヨネスコ「瀕死の王」演出 鴎座 ゲオルグ・ビューヒナー「ダントンの死について」演出 |
| 2009年 | びわ湖ホール アルバン・ベルク オペラ「ルル」演出 |
ダニー・ユン(荣 念曾)
略歴
1943年、上海生まれ。カリフォルニア大学バークレー校(建築学)卒業、コロンビア大学大学院修了(アーバンデザインと都市計画)。
| 1982年 | アート集団[進念・二十面体]創設 |
| 1996年 | 「香港現代文化中心」創立・総合監督 |
| 1997年 | ドイツゲーテ学院と共同で香港芸術祭を主催 |
| 1999年 | ニューヨークアジア協会 世界五十六名華人視覚芸術家に選ばれる |
| 2001年 | ニューヨーク、フォード基金の援助・世界文化論壇連盟を創立 |
| 2008年 | 国際演劇センター「現代音楽劇場」にて特別賞受賞 |
| 2009年 | ドイツ政府 中国・ドイツ交流の業績により「連邦十字リボン勲章」 |
現在、香港現代芸術センター代表、国連教育科学文化組織顧問団国際顧問、「世界文化論壇アジア太平洋地区連盟」理事長、「香港・深川・台北・上海都市文化交流会議」主席、「アジア太平洋芸術ネットワーク」副主席、香港兆基創意書院理事、香港理工大学設計学院・嶺南大学文化研究学部等大学顧問。
最近の日本との関連
| 2003年 | 国際交流基金・地域創造共同企画セミナー講師 |
| 2008年 | 横浜市主催 横浜クリエイティブシンポジウム (基調講演「台頭するアジアの創造都市-その文化的動向-」) 日本大学 国際シンポジウム 「アジア舞踊・結ぶ伝統、いまを解く」 |

